一般貨物運送事業を行うためには許可が必要になります。その許可を取得するためには通常、新規に許可申請することになります。

しかしそれ以外にも許可の権利を移転する方法があります。それが運輸行政手続の譲渡譲受認可申請、合併認可申請と、会社を買い取ってしまうM&Aがあります。

 

許可申請と認可申請の違い

許可申請と認可申請の違いは手続きに掛かる時間、必要資金、顧客の有無が違ってきます。もちろん良い面だけでなく、余計なリスクが発生することもあります。

 

まず手続きにかかる時間ですが、許可申請ではトータルで6か月ほどかかりますが認可申請では3か月ほどで終わります。

許可を譲ってもらう事業者さまが役員法令試験を受けなければならないのは、新規許可申請と変わりません。

 

必要資金では、許可申請だと審査期間中、資金計画以上の現金を保持し続ける必要があります。一方認可やM&Aだと、資金計画の提出はない代わりに企業買収にかかる実費が必要になります。また、許可を取得している事業所の事業計画上の不備がある場合は、修正するために実費が必要になる場合があります。

車両を丸ごと譲ってもらえる場合は許可申請に比べると、その経費分安くあがります。

 

許可を取得している事業所が休眠していない限り、そこの顧客をまるごと引き継げるかもしれません。許可申請に比べるとこの点でメリットがあるかもしれません。

 

譲渡譲受とは

一般貨物事業者から許可の権利を譲ってもらう手続きを言います。譲渡側は許可の権利を失います。

これは個人事業主さまが法人成りをする場合や、短期で一般貨物自動車運送事業を開始したい事業者が取る手法になります。

譲受側は一般貨物許可を取得していない場合は役員法令試験を受けて合格しなければなりません。

 

デメリットとして、最新の事業計画の状態を申請書に記載しなければならないため、譲渡側事業所が変更手続きを怠っていたりして実態と事業計画に乖離が起きている場合、修正しなければ認可されないことがあります。

また行政から違反点数があればこれも引き継ぐ形になります。

実施前はこの点を事前に確認しておく必要があります。

 

合併とは

法人の吸収合併と新設合併の手続きです。譲渡譲受とは異なり、合併すると非合併会社は消滅します。これは法務局の法人登記手続とは異なります

合併認可申請は、譲渡譲受認可申請+消滅会社の一般貨物自動車運送事業廃業届の手続きをワンパッケージで行います。

 

M&Aとは

こちらは会社株式を買い取り、経営権を取得する方法で、運輸行政手続の外の話しになります。取得した経営権を執ることで社名変更や営業所・車庫の位置を移転して経営権者の都合の良いように整えていきます。

ただこちらも事業計画の変更の際に不備があれば、変更認可が認められないのでこの点は注意することになります。

 

 

いずれの方法もどこでどれくらい資金が必要になるのか、ケースバイケースでタイミングが異なってます。

新規許可申請と比べても申請の手間そのものはあまり変わらず、短期間で済む分、少々リスクがあるという違いがあります。

新規許可にするかどうかはそれぞれの判断になります。

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