一般貨物自動車運送事業の許可申請をして、役員法令試験を受けた事業主さまは当然ご存じの内容ですが、一般貨物事業者には定例手続きとして事業報告書事業実績報告書を提出しなければなりません。

これは適正化実施機関=トラック協会による巡回指導のチェック項目でもあり、きちんと提出していれば控えがあるはずです。無い場合は、ひょっとしたら未提出なのかもしれません。

なお、利用貨物自動車運送専門の事業者も提出が必要です。

 

事業報告書とは

事業報告書とは、毎年、決算日の翌日から100日以内に、運輸支局かトラック協会経由で運輸局長へ3部提出します。受領印をもらい、うち1部を控えとして貰います。

内容はその事業年度の事業概況報告書一般貨物自動車運送事業損益明細表一般貨物自動車運送事業人件費明細書財務諸表(損益計算書と損益計算書)注記表を、表紙を付けてまとめて綴ったものになります。

財務諸表と注記表は決算書のコピーで足ります。

一般貨物自動車運送事業1本で事業をまわしている事業者さまであれば苦労はないのですが、それ以外に建設業や産業廃棄物収集運搬事業なども手掛けていたり、運輸開始初年度の事業者さまは少々手こずるかもしれません。

なぜなら事業概況報告書・一般貨物自動車運送事業損益明細表・一般貨物自動車運送事業人件費明細書は一般貨物自動車運送事業(利用貨物を含む)の収益だけを抽出しなければならないからです。他事業の収益はその他収益扱いで処理します。

そのため「一般貨物事業の経費の按分ってどうするの?」という悩みが発生します。もっともこれは建設業許可や産廃許可でもそれぞれ同様の報告が求められているはずです。

 

事業実績報告書とは

事業緒実績報告書は事業報告書と名前こそ似ていますが、集計期間も提出時期も異なります。

事業実績報告書は年度報告なので、前年4月1日から本年3月31日までの実績を報告します。提出締切は本年7月10日です。

こちらは様式1枚で3部提出になります。

内容は事業所全体の営業所をまとめたもので、在籍車両日数、稼働車両日数、走行キロ、実車キロ(積載状態の走行キロ)、輸送トン数(実運送と利用運送の別)、営業収益、事故件数、重大事故件数、死傷者数を報告します。

きちんと数字を出そうとすると運転日報や積載量をまめに整理しておく必要があります。

 

提出していないとどうなるか

この二つの報告書は提出の催促はありません。けれど先に述べたとおり、巡回指導の指摘項目です。

実際的に影響が大きいのは、提出していないことを理由に事業計画の変更認可申請がとおらなくなります。

運輸局の公示【一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の事業計画変更等に関する処理方針について】には、(6)法令順守 ホの項に「事業報告書、事業実績報告書及び運賃・料金の届出並びにその他の報告の徴収について、届出・報告義務違反がないこと。」と明記されているからです。少なくとも直近の報告書の提出は求められます。

認可が認められないと営業所・車庫の移転や新設ができなくなります。

 

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