市街化調整区域に営業所を構えるには、土地代は安いかもしれませんが割と手間もかかるわりに不確実でもあるので基本おすすめしません。

 

しかし物流効率化法に基づく計画が策定してあったり、特別積合せ事業者であれば市街化調整区域を積極的に狙えるかもしれません。

 

物流効率化法の恩恵とは

物流効率化法(以下、物効法という。)とは

  • 輸送、保管、荷さばき及び流通加工といった流通業務を一体的に実施すること
  • 「輸送網の集約」、「モーダルシフト」、「輸配送の共同化」等の輸送の合理化により、流通業務の効率化を図ること

の2つを進める事業に対する支援措置等を定めた法律です。

 

この中に「物流総合効率化法に基づく総合効率化計画の認定」という制度があります。

この認定があると開発許可に関する配慮を受けることができます。認定=開発許可ではありません。

ただし立地には高速道ICや貨物鉄道駅の周辺5㎞以内という条件が付きます。

もちろん物流施設の構造や大きさといった「特定流通業務施設の要件」と、CO2削減や輸送の効率化といった「流通業務総合効率化事業の要件」も満たさなくてはなりません。

2社以上で策定することという条件もありますので、それなりに一大プロジェクトになってしまいます。

 

特別積合せ事業とは

特別積合せ事業者とは、一度大きな集配所へ積荷を集約し、積み合せの後、もう一方の集配所へ運送する、定刻路線運行の貨物自動車運送事業者を言います。宅配便事業者がイメージしやすいでしょう。

一般貨物自動車運送事業の事業計画変更の認可申請でなることができます。

一般貨物とは「荷扱い所」という施設要件が追加されます。荷扱い所は積卸施設とも言い、始点・終点の2か所が必要になります。

 

積卸施設には

  • トラックの停留所
  • トラックからの取卸し場所
  • トラックへの積込み場所
  • 貨物の仕分けの場所
  • 貨物の一時保管用の場所

を設ける必要があります。

 

さらに定刻運行が必要になります。荷があろうが無かろうが、定刻運行をしなければなりません。車体には「運行」の表示をする必要があり、始点~終点までの路線運行専用車となります。

 

特別積み合せ事業の荷扱い所であれば物効法の距離要件はかからないうえ1社でも申請可能なので物効法の計画認定よりは自由度が高いとも言えます。

 

不確実性は変わりません

どちらも一大プロジェクトになってしまうため、自治体との折衝は避けられません。自治体によっては「求められているのは配慮であって絶対でない」とか「前例がないので不採択」という判断をすることだってあります。

特積み事業の実績がないと認められない、つまり市街化調整区域に進出したい理由で特積み認可を受けただけでは認めないという判断をするところもあります。

物効法はともかく特積みは、幹線輸送自体がとくに申請もできてしまうのであまりメリットがないかもしれません。むしろ自由度を失ってデメリットが勝る場合もあります。

 

やはり安易な市街化調整区域への進出は考えるべきではありません。

一方で、本気で効率化をお考えであれば社運をかけて計画してみるのも選択肢としてアリだと考えます。

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