令和5年4月3日付国土交通省ウェブサイト発表より。

https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo10_hh_000133.html

 

運輸事業者の不利益情報=行政処分の情報の開示期間をこれまでの最長の5年に統一されます

 

運輸局による監査によって何らかの違反が取られた場合、行政処分が下ります。この情報は管轄運輸局のウェブサイトで公表されたり、国土交通省ネガティブ情報等検索サイトで公表されています。

貨物自動車運送事業者は行政処分が下ると3年間、違反点数が付きます。このためネガティブ情報は基本3年間でしたが、この度の運用の見直しにより5年に統一することになりました。

 

これは令和4年に起きた知床観光遊覧船事故をきっかけにした運用面の見直しです。また同年、鉄道でも路線が普通になる事故が起きており、輸送に係る全モード:【航空】【鉄道】【自動車】【海運】が対象になりました。

自動車は既に大きな事故をきっかけに行政の監視の目は厳しく取り扱われているので、今回の運用見直しで特に厳しくなった、ということはありません。

ただし「輸送の安全に関する文書行政指導」にも対象が拡大されたため、不名誉なウェブページに事業所の名前が載りやすくなったとも言えます。

 

行政処分基準

国土交通省は行政処分を行ったり違反点数を付与するにもルールを設けています。それは「貨物自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」と検索すれば関連資料とともに無料でダウンロードできます。

何に違反すればどれくらい車を止められるか、という一覧もあります。

 

もちろん、処分の軽重はあります。

特に重いのが労務関係の違反と過積載です。

点呼や日報の不備は積もり積もって重くなるものですが、労務違反と過積載は一発が重いです。特に過積載は初犯でも車を止められてしまいます。

 

場合によっては運行管理者資格者証の返納命令という処分もあります。補助者も対象になります。返納命令が出されると5年間は再取得ができなくなります。

時々弊所にも返納命令について、違反をしたくない運転者と「かまへんかまへん」な事業者との間で板挟みになっている運行管理者さんから問い合わせがあったりします。

 

改正改善告示の実施まで1年を切りました。

改善基準告示が2022年12月23日に改正され、2024年4月1日に始まります。また2023年4月から時間外労働手当の割増賃金制度が大きく変わりました。

 

うわさですが、この上昇した割増賃金率分の未払いをめぐって弁護士が活躍の場を求めているとも耳にしています。2023年は労務管理体制の構築が本当に大事になる一年だと感じています。

「労務管理? デジタコがあるじゃない」

という意見もありますが、デジタコにできるのは運行管理であって労務管理ではありません。本当はデジタコで労務管理までできればいいのですが……

 

何にせよ、今後を左右する年度が明けました。変革していきましょう。

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