この記事は2022年9月12日時点のものです。

厚生労働省の労働政策審議会:トラック部会が進めている、2024年施行のいわゆる改善基準告示の改正案が大詰めのようです。今冬に発表される予定と聞いていたので、おそらく大枠はもう固まっているのではないでしょうか。

9月8日に第10回トラック部会が開かれました。その資料の中に「貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の在り方について(報告案)」というものがありました。

報告案というからにはかなり内容が詰められているのでしょう。

 

審議会の議事録は残念なことに、まだ7月20日に開かれた第7回トラック部会までしか公開されていないのでその詳細はわかりません。

議事録を読むと方向性は大筋で合意されているものの、各論になると労使双方の主張にはまだ隔たりがあり「すり合わせ」はこれからのように思えます。

 

報告案に目を通してみたところ、議事録でも合意が見られたようなところは大筋で合意されていたとおり、一日の拘束時間等が1時間ずつ短縮になるようです。連続運転時間や二日平均・1週間平均の運転時間に変更はないようでした。

一年の総拘束時間が3,516時間から3,300時間、条件付きで3,400時間へ短縮というのはインパクトが大きいです。条件付きというのも三六協定だけでは足りません。

新たに長距離運行という考え方が導入されるようです。これは一の運行の走行距離が450km以上を言うようです。加えて「1週間の運行がすべて長距離運行の場合」という条件とセットになるかもしれません。

分割休息は、3回に分けて取ることも可能になるようです。この場合の総休息期間は12時間とかなり長くなるようです。

2人運行特例も手が入りました。睡眠スペースに具体的な広さが記載されています。また一の運行の拘束時間の変更や休息期間についても変更があるようです。

 

改善基準の新旧を比べると条件付き特例が増えている印象を持ちます。

実務面では時間管理だけでなく長距離運行に対応するため、今後は距離の管理もしていかなくてはならなくなるのでしょう。

運行管理者講習の内容も変わるでしょうし、それこそ運行管理者試験にも大きな影響が出るでしょう。改善基準からの出題件数は多いので、制度改正後は過去問が素直に使えなくなるため2024年8月試験は合格が難しくなってしまうのではないでしょうか。

 

巡回指導を受けた事業者さまから聞いた話では12月には正式発表されるとのことです。

秋はGマーク申請した事業者さまが巡回指導を受けることと思います。そこで改正後のお話を伺えるかもしれません。

 

まだ詳細まで決まってはいないとも耳に入っています。それで今後も運輸行政の発表にアンテナを張っていくつもりです。

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