シリーズ記事:貨物自動車運送事業許可申請準備編2 前の記事 次の記事
岡山県の運送業専門行政書士がよくあるご質問に回答します
記事要約
- 一般貨物と軽貨物の違いを詳しく解説。
- 申請条件・必要資金・義務の違い、参入障壁の比較を運送業専門行政書士が説明。
- どちらを選ぶべきか判断できる情報を提供。
岡山県・鳥取県・広島県東部地域での許可取得のご相談も承ります。
Q: 一般貨物と軽貨物の違いを教えてください。
一般貨物と軽貨物のどちらが自分に適切なのか? というご質問ですね。この記事がご決断の一助になれば幸いです。
一般貨物は軽貨物の上位互換というわけではなく、それぞれに適したビジネスモデルがあります。ご自身に適したものをお選びください。
また、申請要件上、一般貨物と軽貨物では許可要件=参入障壁がまったく違うので、まずは軽貨物事業からスモールスタートされる方もいらっしゃいます。
車両の規格の違い
申請に必要な車両は以下の違いがあります。
- - 一般貨物は普通自動車以上
- - 軽貨物は軽自動車と125ccを超えるオートバイ
一般貨物に軽自動車が混在するということはありません。
運ぶ荷の大きさ、重さによってどちらの車両が適切なのか変わってきます。
住宅地の戸別配送を行うのであれば車体の小さな軽貨物のほうが適当です。大量に、また長距離を輸送するのであれば一般貨物のほうが適当です。
参入障壁の違い
一般貨物と軽貨物では、手続き完了までの時間・難易度が変わってきます。
一般貨物の手続きは、書類の内容などを数カ月にわたる審査があります。申請要件には、有資格者・5名以上の運転者の確保や必要になる車両台数、手持ち資金、法令試験の合格があります。
審査を受ける以上、申請内容はコンプライアンスを遵守しなければならないのですが、普段の生活ではあまり気にしていないことも法律の制限にかかることがあるため、意外と参入条件が厳しいです。
一番厳しいのは資金面です。申請では審査期間中、必要資金の100%以上を保持しておく必要があるのですが、まず必要資金がかなり高額となるケースがほとんどです。
軽貨物は個人事業主を対象にした制度設計となっているため、軽自動車1台があれば他に特別な条件はなく、参入しやすいと言えます。
申請条件の違い
一般貨物と軽貨物では申請の要件がまったく異なります。大きく影響する部分は以下のとおりです。
条件事項 | 一般貨物 | 軽貨物 |
必要車両数 | 5台以上 | 1台から |
必要資金 | 資金計画の100%以上 | 特に無し |
要資格者 | 運行管理者・整備管理者 | 貨物軽自動車安全管理者・10台以上から整備管理者の選任 |
> 資格について
> 運行管理者:国家資格
> 整備管理者:国家資格または実務経験
> 貨物軽自動車安全管理者:講習修了が必要
一般貨物申請の必要資金額はどのくらいになりますか?
必要資金は申請者さまの状況・ご計画により変わってきます。「最低資金○○円以上を確保していること」という条件ではないので個別に算出する必要があります。
費目は以下のとおりです
- 人件費:半年分
- 燃料費:半年分
- 修繕費:半年分
- 車両費:1年分(税金・任意保険料を含む)
- 営業所・車庫家賃:1年分
- 登録免許税:12万円
なお登録免許税は許可が下りた後に支払います。申請時に費用の発生はありません。
Q: 一般貨物と軽貨物にかかる義務の違いを教えてください。
一般貨物と軽貨物はどちらも許可・届出事業であるため、以下のような義務があります。
日常業務上の義務に大きな違いはありません。
- - 日常点検・定期整備の実施・記録と保存
- - 点呼の執行・記録と保存
- - 業務日報の記入・保存
- - 運転者の労働時間の遵守
- - 交通事故の記録と保存
- - 安全教育の実施・記録と保存
- - 運転者への特別な教育の実施・記録と保存
- - 運転者台帳の作成・保存
- - 運行管理者(軽貨物は貨物軽自動車安全管理者)の選任・届出
- - 整備管理者の選任・届出 ※軽貨物は保有車両数が10台以上から
- - 取引先への運送受委託の書面交付
行政手続き上の義務も大きく違いはありません。
- - 事業計画の変更手続き ※車両数の増減、営業所の移転など
- - 休止・廃止手続き
- - 交通事故の報告・速報
- - 運行管理者(軽貨物は貨物軽自動車安全管理者)
- - 備管理者の定期講習・研修の受講
- - 監査等の指摘事項改善報告
- - 行政処分歴の公表
現在大きく違うのは以下の2つです
- - 事業報告書・事業実績報告書の提出の有無
- - 監督機関によって行われる巡回指導の有無
事業報告書・事業実績報告書の提出は軽貨物事業はありません。
巡回指導も軽貨物事業はありません。
巡回指導とは、一般貨物事業者を対象にコンプライアンス遵守ができているか定期的に運輸局が営業所を訪問しチェックを行います。
38項目のチェックを受け、A~Eの総合評価を受けます。
指摘事項は改善報告をしなければなりません。
以上のように、一般貨物・軽貨物ともに許可・届出事業者として帳簿類を調え、管理する義務を負います。
運送業は法律による規制が多く、労働や書類の整理管理が求められるため、許可を取得した後、これらの管理能力の確保も必要になります。
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以上が一般貨物と軽貨物違いの解説になります。ご自身の状況に合わせてどれが必要かどうか、ご判断ください。
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